2024/10/27 11:52


クリスマスのはじまりのはじまりの話

皆さんおはようございます! こんにちは! こんばんは!

フラワーショップカリアンです。本日もよろしくお願いします 。
さて、10月31日は「 ハロウィン」でしたが、 ハロウィンはいかがでしたか?
フラワーショップKALIANg(カリアン)では、ハロウィンのディスプレイの後片付けに追われています。
しかし、これから11月ですが、クリスマス~お正月と年末に向けて、楽しいイベントが続きますね。
そんなことで、本日のブログはクリスマスの始まりについてご紹介いたします。
もしお時間があれば最後までお付き合いください。


今回から4回に分けてクリスマスについてお話しします。
1.クリスマスのはじまりのはじまり~クリスマスと呼ばれる前のクリスマスについて 
是非ご覧になってくださいね。

みんな知ってる?クリスマスって何の日?

さて、クリスマスというのは何の日か、皆さんご存知ですか? 
クリスマスというのは キリスト教における 何かということは多くの方がご存知だと思います。
しかし、それが果たして何なのか、よくわからない方がいらっしゃると思います。
そんなこと関係なく、クリスマスはクリスマスだよ。
みんなで会っておしゃべりして美味しいもの食べて、プレゼントを渡し合って、というのがクリスマスだよ。
という方もいらっしゃると思います。
しかしながら、クリスマスにもちゃんと起源と由来があるのです。
それでは、そもそも、クリスマスで何なのかということをこれからお伝えしていきます。

クリスマスという呼び名の由来
クリスマスは、正式にはChristmasと綴ります。
そう、語源は「Christ」+「mass」からきていると言われています。
「Christ」はイエス・キリストのことです。
「mass」は日本語では「ミサ」といい、カトリック教会における礼拝のことです。
つまり、キリストのミサという意味になります。
では、クリスマスはイエス・キリストの誕生日?と思われる方が多いと思いますが、
実は、キリストの誕生日はよくわかっていません。
一説によると2月もしくは7月ともいわれ、12月とは関係ないのです。
それでは、なんで12月なのでしょうか。
ここからクリスマスのはじまりについてご紹介しましょう。

クリスマスのはじまりについて

クリスマスというのはかつては「ユール祭」という風に言われていました。
古代ゲルマン人のお祭りで太陽神のお祭りでした。
なぜ太陽神 かというと、暦の上では12月には冬至があります。
冬至というのは日本の暦だけではありません。
クリスマスの話をする前に、そもそも、冬至とは何なのかということをご紹介した上でクリスマスの話をしたいと思います。
ちょっと話が長くなるかもしれません(笑)
冬至というのは太陽が出ている時間が一番短い日。
つまり、日が一番短い日でした。
ここからだんだんと日が長くなり、そして夏至にピークとなり1日の時間が一番長くなります。
その冬から夏に切り替わる日を農業の上での大切な日と位置づけ、お祭りをしてきました。

では、どの様なお祭りだったか。

クリスマスの起源!?ユール祭とはなんですか

ユールとは、キリスト教やクリスマスが伝わる前の北欧に古くから行っていた冬至祭のことです。
そのユール祭は、古代ゲルマン人の風習が北欧各地に伝わりました。
例えば、ユール・ボードというクリスマスパーティーの原型、ブッシュドノエルの起源、サンタクロースのはじまり、2頭のトナカイのいわれなど、クリスマスの様々なことがこのユール祭にちなんだものです。

ユール・ボードという北欧のご馳走
This image was produced by me, David Castor (user:dcastor). The pictures I submit to the Wikipedia Project are released to the public domain. This gives you the right to use them in any way you like, without any kind of notification. This said, I would still appreciate to be mentioned as the originator whenever you think it complies well with your use of the picture. A message to me about how it has been used would also be welcome. You are obviously not required to respond to these wishes of mine, just in a friendly manner encouraged to. (All my photos are placed in Category:Images by David Castor or a subcategory thereof.) - 投稿者自身による著作物, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=14909945による

北欧神話に出てくる神々に供え物をし、宴をするのを「ユール・ボード」といいます。
太陽神や農業神にお供えをすることによって、一年の繁栄を願います。
主に豚肉を中心に長く煮込んだ料理をお供えします。
ただでさえ、冬の日が極端に短い北欧では、冬至のころに何日もかけて、その宴会をするのです。
焚火をし、いけにえ(豚)を備えます。
この焚火は、ユール・ログといいます。焚火の火は、冬の寒さや夜の長さなどと戦かう太陽神の象徴や化身といわれています。
この焚火によって、太陽神の復活・再生を願います。
また、このユール・ボードは12月13日から始まり、1月6日まで行わないと縁起が悪いと言われています。
この12月13日や1月6日については、また別記(聖ルチア祭と公現祭について)することにしますね。


ユール・ログとブッシュ・ド・ノエル
ユールログのイメージ

北欧各国では、ユール祭前夜にユール・ログという薪を用意します。
これは、森で巨木を倒し、その運搬にかかる最年長の老人と最年少の少年がこの伐採した木に家まで乗り、祈りをささげていました。
家に運び込む前に、ワインや穀物をふりかけ、リボンや常緑樹の葉で飾ります。
この薪は、力があり、太陽の輝きを助けるものと信じられてきました。
他にも、人の生死を占ったり、焼けた跡の灰は病気や雷に効果がる、牛が安産になる、作物が豊作になる、水の味がおいしくなるなどと言われてきました。この薪をかたどったものをフランスのお菓子職人が売り出したところ大変評判となり今日のケーキとしての「ブッシュドノエル」が広がりました。


ブッシュドノエル


ヤギの置き物・ユール・ゴート

日本ではあまり見かけることが少ないですが、この時期に北欧の各地・特にフィンランドなどでは、ヤギの置き物を作り飾ります。
それは「ユール・ゴート」といいます。そのユール・ゴートとは、北欧神話の神・トールの車を引いた2匹のヤギにちなみます。
このヤギには神話がありますが、ちょっと話が長くなるので、別記しますね。
このヤギは見えないヤギであり、ユール祭の準備が出来ているかどうかを確認して町や家々を回るとされています。
そしてこのヤギは、来年の吉凶をうらなうとされていて、成人男性がヤギに扮して子供たちを嚇したりして怖がらせたりするようです。
まるで日本におけるなまはげのような催しですね。
いまでもヤギの置き物を玄関に飾ったりします。この、北欧神話の神・トールのヤギがいつしかトナカイに変わっていきます。
北欧神話の神・トールとやぎたち
Mårten Eskil Winge - Second upload from NationalmuseumThird upload is a high-resolution scan from the 2003 illustrated Edda published by Gudrun., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=192975による

サンタクロースのはじまり!?ユール・トムテ
おかゆを貰ったトムテ
Vilhelm Pedersen - スキャナで取り込み, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1346098による

トムテとは別名・トゥントウなどとよばれる森に棲む妖精のことです。
赤いとんがり帽子をかぶり、白い長いおひげを蓄えている小人です。
もともとはスカンジナビアの民間伝承に登場し、森の中もしくは家の食糧庫や納屋に棲んでいると言われています。
農業神との深いつながりがあると考えられていて、人々が寝ている間に、家畜の世話をしたり、農業のお手伝いをしたりしていると言われています。非常に働き者で、見た目は小さいがなんでも仕事をこなし力仕事も全然OKなのですが、ちょいちょい機嫌を取らないとすぐにふてくされて、仕事をさぼり、いたずらをするという少々厄介な存在なのです。
そのトムテにはユールの時にはミルクで炊いたおかゆを振る舞うという風習があり、これは農業神に一年の感謝をささげ、新たな一年の豊作を願うという意味がありました。
そして、ユール祭がキリスト教の布教の広がりで、クリスマスと一体化するようになると、森の中に棲むトムテはキリスト教に融合されました。一神教のキリスト教においては、他の神の存在は許さなかったため、トムテは悪魔とみなされ信仰を抑圧する時代もありました。
しかしながら、キリスト教における聖人・聖ニコラウスとの融合により、その存在も認められることとなります。
さらに時代が進むと、そのまま現代のサンタクロースと融合していくのです。
トムテ自身は人々からプレゼントをもらう存在だったところ、聖ニコラウスとの融合で、クリスマスの日に、聖ニコラウスが貧しい子供たちにプレゼントを渡す故事から、トムテ=サンタクロースはクリスマスにそりを引いてプレゼントを配るというイメージとなります。
20世紀に入り、このトムテの赤い帽子に目を付けたコカ・コーラのセールスによりさらにサンタクロースとして進化しました。
サンタクロース=トムテは赤い帽子だけでなく、服装も赤い服装、そしてユール祭の北欧神話の神・トールとのイメージも融合して2頭のトナカイが引くソリに乗って子供たちにプレゼントを配るというイメージが定着しました。

もう一つのクリスマス

サルトゥーナリア祭
農業神サルトゥーヌスのレリーフ(inconnu - User:Jean-Pol GRANDMONT (2011), CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26196274による)

ユールという北欧文化に根付いたクリスマスの原型はご紹介した通りなのですが、クリスマスの原型になったというもう一つのお祭りがあります。それは古代ローマ時代に普及したサルトゥーナリア祭というお祭りです。
これはローマ神話における農業神サルトゥーナリア讃える日です。
サルトゥーナリア祭の発祥は紀元前217年頃と言われ、戦に負けたローマ兵士の慰労のため、始まる。
農業神サルトゥーナリアを讃え、人々は盛大なパーティーを催します。
人々は自分で作ったプレゼントを贈りあい、街には特別な市が立つ。そして身分の垣根を越えて何日も宴会を催します。農業神のお祭りは、冬至祭の意味合いもありました。

ミトラ教の冬至祭
ローマのミトラ像(Jean-Pol GRANDMONT - 自ら撮影, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=30849335による)

ミトラ教とは、ゾロアスター教発祥の宗教で、太陽神ミトラを冬至に祭ります。ミトラ教では太陽神ミトラが冬至を境に力をとりもどし再生すると信じられてきました。そのため、冬至は大切な日とされてきました。ミトラは別名ミスラともいい、インドやイランなどの中央アジアにおける太陽神の一柱(神様は一人二人でなく一柱二柱と数える)でありもともと約束の神様でした。また太陽に乗って天空を駆けまわる神で、中世以降は太陽神としての性格が強くなります。
そして、冬至のあと12月25日にミトラの神を讃える冬至祭が行われるようになったのです。

このようにして現代のクリスマスとなります。
キリスト教の普及と元々の北欧における神話・民間伝承からの信仰などさまざまな要素がまじりあってできたクリスマス。
次回はそのクリスマスとリースについてあれこれご紹介していきます。