2024/11/03 13:03
なぜクリスマスにはツリーとリースを飾るのか?
クリスマスと言えば、クリスマスツリーにクリスマスリースを飾ります。
今では当たり前の光景ですが、なぜクリスマスツリーとクリスマスリースをかざるのでしょうか?
前回から4回に分けてクリスマスについてお話ししています
2.クリスマスにはなぜリースを飾るのか?モミの木とクリスマスについて
是非ご覧になってくださいね。
前回までのおさらい
・クリスマスは実は古代ゲルマン人や古代ローマ人の冬至祭が由来
・クリスマスの風習は、古代ゲルマン人のユール祭が起源にある
・ほかにもサルトゥーナリア祭やミトラ教の冬至祭も由来の一つ
ということでした。
クリスマスの風習は今も伝わっているものも多くあります。
クリスマスツリーを飾る、クリスマスリースを飾る、それは、キリスト教に融合される前の信仰や宗教が関係しているのです。
前回お話したとおり、クリスマスというのは、もともと、古代ゲルマン人の冬至祭「ユール」や古代ローマ人の農業神のお祭り「サトゥルナリア」にも通ずるところがあります。
しかし、キリスト教化がすすんだ、ヨーロッパ各地では、古代からの風習や教えは、悪魔といわれたり、妨害されたり、禁止されたり、取り込まれたり、様々なことが起きました。
ところが、古くから伝わる儀式や風習はすぐには変えることが出来ず、また信心深い人はキリスト教の普及に反発したりもしました。
そのため、キリスト教側では、古来から信じられていたゾロアスター教、ミトラ教、ローマ神話などに登場する神の冬至祭、すなわち、太陽神のお祭りが、キリスト教に取り込まれていきます。
また、北欧の各地域に広範囲で親しまれてきた、ゲルマン人のユールも取り込まれていき、冬のお祭りとして融合してきました。
なぜクリスマスに常緑樹が飾られるのか?
ユール祭には、ユールログというのがあります。森の中から薪を切り出し、常緑樹で飾って、お家で火をつけます。その火は、太陽神の化身としてお祈りする風習です。
ここで登場する常緑樹。
これが、今回のお話のもととなります。
もともとクリスマスの風習の起源とされる、ユール祭は北欧のお祭りです。そのヨーロッパでは、冬は日が短く、農作物は育ちません。
そのため、日が長くなることを待ち望んでいました。
その中でも、森の木々には畏敬の念を抱いておます。たとえば薪としての資源。家などを建てる資材として。その他生活の中でさまざまな恩恵を受けてきました。
特に常緑樹は、冬も枯れることが無く、青々としています。
他の農作物が枯れてしまっているのに、冬も枯れることが無く、青々としている姿が、人々は神秘的に感じていました。
常緑樹が常緑であることは、きっと何かに守られている。
その木には、農作物を反映させる精霊か妖精が棲んでいるかもしれないと。
やがて、その精霊や妖精はその家を繫栄させるや農作物の豊作をもたらされると信じられてきました。
常緑樹=枯れることが無い=農作物の豊作=家の繫栄
このようにして、常緑樹は繁栄や豊作の象徴とされてきました。
常緑樹を飾るのは、その家の繁栄・農作物の豊作を願い、家に様々な恩恵をもたらすようにという願いでした。常緑樹に棲む精霊を家に呼び込み、その精霊たちと共に、冬至祭をするのです。
家のなかや軒下で、常緑樹を飾ります。
そして、ドアにはドア飾り、常緑樹にはクッキーなどのお菓子を精霊たちにお供え物をします。
このお供え物を飾るという風習がクリスマスツリーの起源と言われています。
クリスマスにおける常緑樹のいろいろ
・樫(かし)の木説
古代ゲルマン人の冬至祭「ユール」においては、樫の木をお祭りで使っていた。
樫の木は、冬でも枯れることのない常緑樹であるため、生命力の神秘を感じ信仰の対象にしてきました。
しかし、樫の木はキリスト教により弾圧されてしまいます。
キリスト教では、多神教は認められていません。
そして、キリスト教以外の信仰も認められていませんでした。
そのため、キリスト教では、ユール祭に使われていた樫の木をすべて切り倒してしまうという暴挙に出ます。
そこで、人々の反感をかってしまい、結果的にキリスト教の布教においてはマイナスとなります。
・樅(もみ)の木説
古くから冬でも枯れることのない「もみの木」には精霊(ノームと言われている小人)が住んでいると言われていました。
小人は、その土地を守るとも、その地域を幸せをもたらす、とも、言われていました。
森に食べ物がなくなる冬に、小人が居なくならないように、もみの木に食べ物や花を供えることをしたようです。そこからクリスマスツリーに繋がっていったようです。(本来ならば、モミの木ではなく樫の木だったという説もあります)
・樅(もみ)の木説その2
モミの木はキリスト教の聖書に登場します。
キリスト教では三位一体といい三位(頂点に父=神、底辺の角に子=イエス・信者、精霊)がある三角形の一体の形がモミのきの形に似ていることからキリスト教ではモミの木を使いました。
キリスト教宣教師がゲルマン民族にキリスト教を広めようとしたとき、ゲルマン民族の信仰していた樫に代わってモミの木を信仰の対象とさせたという説があります。
いずれにしても常緑樹であったということです。
しかし、モミの木といいいますが、日本ではモミの木を使いますが、ヨーロッパではヨーロッパトウヒではなかったのか?という指摘もあります。
モミの木になった説についてはまた別記いたします。
クリスマスに飾るツリーとリース
クリスマスには常緑樹を軒下のほかに、様々なところに飾り付けをします。
玄関の入り口、お部屋の壁や軒下など。
形状も様々で今でいえば、ガーランド的なものや、スワッグ的なもの、リース的なものもあったと思われます。
そして、クリスマスに焚く薪にもかざりました。
特に玄関に飾るのはリース。
リースの発祥は定かではありませんが、日本語では花輪もしくは植物を使った輪飾りとされます。
リースの輪には、「途切れることのない」もしくは「永遠」のという意味があります。例えば、墓地に備えるリースは、「個人の魂よ永遠に」という意味があります。
クリスマスリースは常緑樹を使って作ります。
では、クリスマスリースの意味は?といいますと、
常緑樹=繁栄と豊作
リース=永遠
すなわち、繁栄と豊作が永遠に続きますようにという願いをこめて作られるようになりました。
それが、今では、モミの木などの針葉樹を使い、リースを作るようになりました。今では、針葉樹全般を使うようになり、日本ではお正月飾りに使われるようなマツ類までリースの素材として使われています。
まとめ
樫の木などの広葉樹やモミの木やヨーロッパトウヒなどの針葉樹などの常緑樹がクリスマスの装飾をしました。常緑樹の枯れないことに畏敬の念を抱いてそこに精霊が宿るという信仰がありました。
そして、ヨーロッパ各地の様々な信仰が、キリスト教と融合して、それが現代につながるクリスマスとなったのです。
次回は11月8日頃の更新です。
クリスマスに飾るオーナメントにはいろいろ意味があるんですよというお話です。
今回もありがとうございました。