2025/08/08 08:04
8月になると、概ね日本全国的にお盆となります。
そしてお盆休みというのがサラリーマンにはあるわけです。
8月は月の1/4くらいが世間的におやすみなのですが、実はこれ日本の古来よりの風習によるものなのです。
日本における風習は、元々日本のもの、仏教と共に中国やインドから伝わったものとあります。
たとえば、お祭りや神棚、神社などは日本古来のものです。
かたや、お彼岸、お盆などは仏教的要素が多くありあります。
■「お中元」と「お盆」
お中元といえば、夏に贈る贈り物というイメージがあると思います。
カルピスやそうめん、水ようかん、メロンやスイカなどもあります。
どちらかといえば夏の食べ物みたいなイメージがあります。
これは、お中元の意味を紐解いてみるとわかるのです。
このお中元というのは、もともと、「中元」といい、中国の古い宗教である道教に伝わる日なのです。
中元があるということは、上元、下元もあります。
ちなみに、上元は1月15日で明かりをともし厄災を払う日であり、
中元は7月15日で、祖先の霊がよみがえる日、下元は、10月15日で、先祖を敬い穢れを払う日としていました。
そういった風習があり、お中元といって、食べ物を贈ったりお花を贈ったりするのは、
それらを祖先にお供えしてくださいという意味だったといいます。
また7月は鬼月といいます。
鬼月の鬼は、「餓鬼」(子どもという現代の日本語のスラングではなく、本来の意味でのガキ)に代表されるように、「鬼」は「霊」や「死者」を意味していました。ちなみに餓鬼とは「口にしようとするものは忽ち炎と化し、何一つ食べることが出来ず飢えの苦しみには際限がない亡者」という意味です。つまり、鬼月というのは、この世とあの世が繋がる門が開いて、死の世界から亡霊がやってくる月という意味です。どうして7月が鬼月なのかというのはいろいろ不明なところもありますが、古代の中国では、7月が地獄大帝の誕生日で、死者に恩赦を与える日が7月15日だそうです。そこから、罪の赦された死者が現世にもどってきて、子孫に会いに来ると考えられていたようです。
そして、それがお盆とどう関係があるのかというと、
お盆は、元々「盂蘭盆会」を約したものだとか、お供えを載せるお盆が語源だとか言われますが、定かではありません。
元々の語源の一つの「盂蘭盆会」とは、仏教では、夏の安居というお坊さんの修業が明け、僧侶を癒す日ということと、もともとの道教における祖先の霊がよみがえる日である「中元」などの民間信仰が合わさって出来上がった風習といいます。
それが、日本に、仏教の伝来とともに伝わった。というのです。

■7月と8月にお盆がある。
さきほどお中元の話で、中元は盂蘭盆会と結びついて、7月15日とお伝えしました。
じつは暦の上では7月15日が正解なのです。
ところが日本の大部分のお盆は8月15日となります。
大部分といったのは、東京や神奈川などの一部関東は7月15日でそのほかの地域は、8月15日がお盆となります。
つまり、お盆が2回あるということなのです。
これはどういうことかといいますと、じつは暦に関係します。
7月は新暦盆、8月は旧暦盆なのです。
旧暦盆とは、明治維新となり、日本は世界標準の暦に合わせなくてはいけないため、旧暦すなわち太陰暦を太陽暦に切り替えました。
そのため、全国に向けて、お盆などの年中行事を新暦に切り替えるよう通達したのですが、全国の大部分は農業の耕作期間などの関係から、旧暦で行うこととなりました。
ですから、1か月遅れの8月13日がお盆の入りとなりました。
しかし、本当の太陰暦では、さらに若干ずれることがあり、沖縄や奄美大島など一部の地域では、旧暦ではなく太陰暦のお盆を執り行っています。
つまり、東京近郊と東京以外でお盆は2回あるのです。
それではなぜ、全国的にお盆を7月に動かさなかったのか。
それは、農業と関係あります。中国や台湾、韓国、日本など東アジア諸国は、7月までは農繁期なのです。
そして、7月が過ぎると農閑期となり、秋の収穫に向けて一旦落ち着きます。
中元や盂蘭盆会の僧侶もそうなのですが、7月まではさぼっていられないのです。
そうなると、暦が新暦となっても、こういう生活と密着するお祭りは、暦と一緒にそっくり1か月前倒しにはできないので、
結局旧暦の7月15日となりました。
■8月がお盆休み
それでは、8月がお盆休みの本当の理由をお話します。
お盆と暮れは江戸時代よりお休みでした。
というのも、これは、先祖を敬う、祖先の霊をお迎えする、など日本にも古来からある民間信仰から来ています。
暮れというのは、1年の終わり、そして新年を迎える準備をします。
こちらは神道と結びついて、年神さまをお迎えし、年神さまが去っていくというものです。
この年神さま、というのは、幸せをもたらす神様で、一種の来訪神ではありますが、もともとは祖先の霊ともいわれています。
そして、お盆も、先般からお話していた通りなのですが、祖先の霊が現世に戻ってくると信じられてきました。
ですから、お盆は家に帰り、実家にて祖先を供養するのです。
その供養をするために、実家に帰るため、お休みとなりました。

お迎えするためには迎え火と送り火というのがあります。
お盆の風習や具体的な内容は、また次回にお話いたします。